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mohariza12メモ

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2018年 05月 13日

<伊藤計劃の「虐殺器官」考>-1(一部訂正、加筆)

現在、伊藤計劃の小説「虐殺器官」(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E8%97%A4%E8%A8%88%E5%8A%83)を再読しながら 消える赤ボールペンで線や(括弧)や<山括>等を入れた個所を、
また再再読して、キーになる言葉を四角で囲ったりしながら、この小説の真意を考察している所です。

・・・・・・

現代(この頃)、人々が普段使う言葉やメール・ツィター等で交わされる言葉としての(外来語のカタカナ語を含む)単語は、意味合いが曖昧で、余りにも安易(安直)に使われてる様に感じていますが、

この小説の中で記されている 一つ一つの「ことば」(:外来語等のカタカナ語を含む単語の定義・意味)が非常に厳格で、
キーとなる言葉が、主人公が様々な人々に会って、また実体験するごとに、その(ぼくにとっての)「ことば」の定義(:考え方)が変化して行き、
(ぼく自身にとっての:それは読者にとっての)その「ことば」に含まれる世界象が変って行きます。

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(国家(アメリカ)の情報軍の暗殺を請け負う特殊部隊に所属する主人公クラヴィス・シェパードは、
(虐殺を含む)暗殺を冷静沈着に実行し続ける大尉だが、過去に母親の生命維持装置を切ることを承諾したことの是非を
ずっと問い続けてきた人間として描かれています。)

そして、(p42~43)
ことばが単なるコミュニケーションのツールには見えず>、<リアルな手触りをもつ実体ある存在として感じ>、
ことばそのものがイメージとして感じられる>、<ことばそのものを情景として感じられる>人間だった。
<「国家」や「民族」という抽象現実としてイメージできる>人では 無く、
<国家も民族も共同体も「ことば」としか思えなかった>人間だった。

一方、この小説の主人公の対極として、<国家を生々しくイメージでき>、<ぼくのかわりに世界のことを考えてくれ>、<ぼくに誰それを殺せと命令してくれる>、
を生々しくとして感じられるがゆえに>、<現実感が「国家」に付着してい>て、<異質な他者を明確にとして意識し続ける><国家>の支配者集団を描いている。

・・・・・
虐殺器官」は、
「国家」、「民族」、「共同体」とはいったい 何なのか?そして「人間」の意思・意識とは何なのか?を質(ただ)し、深く考えさせられる2000年代の稀に見る(SF)小説だと思っている・・・。

(・・・続く)

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(190318追記):<続き>は、

2019年03月17日付けの<「ニュージーランドの銃乱射テロ」と伊藤計劃の「虐殺器官」について (本稿:たぶん<続く>)
(https://mohariza12.exblog.jp/28095103/)に、
ニュージーランドの銃乱射テロも絡め、続編の形を取りつつ、記しました。



by mohariza12 | 2018-05-13 23:39 | 小説


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